不良とシスコン、時々天使 | ナノ



とても礼儀正しい緋里くんは、帰ってきた父さんに案の定迎え入れられた。
賑やかな食卓は、とても楽しかった。

時間も八時を過ぎた頃、蒼志の携帯に、ふたりのお母さんから連絡があって、どうやらそろそろ家につくらしい。

「緋里くん、いつもこの位の時間まで、ひとり?」
「いえ、いつもはもう少し、母たちの帰りも早いので」
「そっか…もしずっと家ひとりな時あったら、うちに来ていいからね」
「そんな、申し訳ないですし、」
「ひーちゃん、またきてね!」
「ええと…」
「おやくそくよー?」

玄関まで緋里くんを送りながら、桜は小指を差し出して、笑顔を浮かべた。
はあああ相変わらず可愛いなああああああもおおおおおお!
緋里くんも、そんな桜の天使の微笑みに絆されたのか、小指を絡めた。
…ふたりの周りの空気が浄化されていってる気がする、天使恐るべし。

「…うん、また、お邪魔してもいいですか」
「もちろん、いつでもどうぞ」

いつもより緩くなってしまった頬を引き締めながら、玄関の扉を開けた緋里くんに向かって手を振る。

「あ、蒼志、帰ってくんの」
「おー、緋里送ったらバイクで来る」
「事故んなよ」
「わかってる」

蒼志は、心配するな、とでも言うように俺の額にこつりと拳を当て、先に外に出ていた緋里くんを連れていった。
うん、やっぱりちゃんとお兄ちゃんやってるんだなー。


「あっちゃん、なんじにかえってくるの?」
「どうだろう、桜が寝ちゃった後かも…」
「うー…」
「でも朝は一緒にご飯食べようね」
「うんっ!」

父さんはそんな俺らをどこか嬉しそうに見ていて、俺も何だかほっこりした。



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