不良とシスコン、時々天使 | ナノ


春日野は、一年の時、同じクラスだった。
クラスの中心にいて、俺も普通に話しかけていた。
定期テストだけじゃなくて小テストとかも毎回一番で、それ以外を取っていた記憶はない。

二年になって、春日野は理系だったからクラスは別になったけど、廊下で擦れ違ったら挨拶を交わすくらい、そんなに遠い人物じゃなかった。

その春日野が今怒っているというか、一方的に言葉をぶつけているのは、蒼志が今回のテストで一位をかっさらっていったからだろう。

「何でお前なんかが…ッ!」

春日野が何かを蹴り上げる動作をして、かしゃん、と軽い音が鳴った。

こちらからは春日野の背中しか見えないから何をしたかまではわからないが、その途端、空気がざわり、変わる。

今まで座っていたらしい蒼志が立ち上がり、その姿がやっと見え、………すごい、怒ってないか、あれ。

「……春日野クン、だっけ」
「………」

「死んじゃうかも」

あそこまで怒ってるの久々に見た。
緒方が言うのと同時に蒼志は春日野の襟首を掴み上げ、振りかぶった。

……いやいや、何やってんだ馬鹿!


「蒼志!!」


見ていられなくて、咄嗟に、声を上げた。

暴力沙汰は不味い、ただでさえ、あいつは不利な立場になるんだから。

屋上の入り口から駆け寄ると、ぽかんとしたふたり。


それと、朝方俺が渡した弁当が、地面に中身をぶちまけていた。



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