二駅先で降りると、自分達以外にもいくつかの家族が一緒の方向に歩いていく。
そこには大きな公園というか、少し丘を上った先に開けた場所があるのだ。
「つーちゃんあっちゃんはーやーくー!」
「桜、走っちゃ駄目だからねー!」
「はーいっ」
「……子供って元気だな」
「お年寄りみたいなセリフだぞ、それ」
弁当やレジャーシート、何気に俺より重いものを持った蒼志が、前ではしゃぐ桜を眺めた。
穏やかな風が流れて、色々、錯覚しそうになる。
俺達は確かに仲良くなれて、通ずるところもあるけれど、決して家族ではない。
友達なんだ。
家族じゃない。
「……どうした?」
「や、何でもない」
それは当然のことなのに釈然としなくて、曖昧に笑うことで話を終わらせた。
ま、そんなことより先に歩いている桜の方が心配だ、あんまりはしゃいで怪我でもしたら俺絶対発狂する、蒼志にも止められない自信がある。
「ほら、さっさと行こう」
「ん」
土で積み上げられた階段を登って、開けた場所にでると、一足先に到着していた桜が、笑顔でこっちに手招きしていた。
…あっぶね、一瞬昇天しそうになったわ。
何あの天使、天使が天使すぎて天使です神様ありがとう。
「やばい鼻血でる」
「はいはい」
軽く脇腹を急かされるみたいに肘で突かれた。ちょっと痛い。
もう少し幸福感に浸っても良かったけど確かに桜待たせるのは大変よろしくないことだ。蒼志ありがとう。痛かったけど。
「木陰にシートひこっか」
「うん!」
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