大変です。
一大事です。
何が一大事かと言うと。
「な、あ、あお、蒼志、髪…!」
そう、蒼志くんの髪色が変わりました。
「良いだろ」
「そ、だけど、なん、何で、」
「お前が髪色が派手だっつーから」
「や、言ったけど、」
でもまさか、蒼志が髪色を黒に戻すなんて、思わないだろ…!
前期中間試験も終わり、約束を取り付けた、土曜日。
前日は用事があるらしく泊まらず、朝方に迎えに来るとかで。
インターホンが鳴り、待ちきれなかった桜が急いで玄関に走っていった。
「あっ、桜、待ちなさい!」
多分蒼志だろうけど、違う人物だったら危ない。
インターホンを鳴らした人物を確認するより前に桜の後を追いかけたら、桜が玄関を中途半端に開けて止まってぽかーんとしていた。
「桜、いきなり開けんのは危ねぇから気をつけろよ」
「……あっちゃん?」
「おう」
確かに蒼志の声だが、桜の様子がおかしい。
後ろから玄関を完全に開けると、そこには。
「よう、司」
「な…ッ!」
そこで、冒頭に戻るわけだ。
赤い髪はすっかり成りを潜め、銀狼と呼ばれて居た頃に懐かしささえ覚える。俺は見たこと無いけど。
「司?」
「え、あ、父さん」
「ほら司、桜、立ってないであっちゃんを家の中に入れてあげて」
……え、あの桜でさえびっくりしてんのに、何で父さんそんな普通でいられるの。
「司、準備はもう出来てるのかい?」
「え、あ、もうすぐ終わるけど」
「じゃあ早く準備しておいで」
そうだおかず詰めないと…!
「桜、お手伝いして」
「はーいっ」
台所に戻って今日のために作ったものを詰めていく。
桜はプチトマトを詰める係だ。それだけならお手伝いじゃないって?
甘いな、小さい頃から小さいことをコツコツやってくのが大事なんじゃないか。
「つーちゃん、できたよ!」
「おー上手上手」
「えへへ」
「じゃああっちゃんと一緒に待ってて」
「はーい!」
あー可愛い。桜マジ天使。
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