「ふあぁ…!」
「桜、お礼は?」
「あっちゃん、ありがとう!」
「どーいたしまして」
どうやら駄菓子は気に入って頂けたらしい。
物凄い桜がるんるんしてる。天使。
「桜、ご飯の前には食べちゃ駄目だよ」
「はーい」
やっぱりおやつはおやつな訳で、飯はしっかり食べないとな。
最近の人たちは軽いものですませるらしいけど、俺は家族にだけはそうなって欲しくない。だから俺が作ってるんだけど。
「じゃ、ちゃっちゃとやりますか」
イケメン二人に囲まれた可愛い天使が、遊び疲れて寝てしまう前に。
その後帰ってきた父に、蒼志と緒方は歓迎され、更に賑やかな晩飯となった。
人見知りしない緒方はすぐに父と仲良くなってたし、蒼志は言わずもがな。
泊まっていくか、と緒方に聞けば、そこまでは、と断られて桜が泣きそうになり、でも蒼志は泊まっていくから、と俺が言えば、桜は笑顔になった。
「あ、まだ客間片付けてないから俺の部屋で良い?」
「別に構わねぇよ」
「あと、勉強教えてクダサイ」
「わかってる」
ぽすん。ちょっとごつい、大きい手が俺の髪を擽る。
………こいつ人の頭撫でんの好きなんかな。
俺達兄妹の頭、よく撫でてないか。
桜は年齢的にも容姿的にも許されるけど、俺は両方満たしてないからちょっとマズい気がする。
「撫でんの禁止」
「はいはい」
そう言って髪の毛をぐちゃぐちゃにしてくのは良くないですよ、蒼志くん。
「お前文系だよな」
「そう、だから理系教えて」
「だったら俺に文系教えろ」
「えー…必要ないんじゃね?」
「古文で脚引っ張んだよ」
それでも十位以内ならいいじゃん。まあ教えて貰うし、教えられる範囲なら大丈夫だけど。
「てか勉強すんの?」
「しない訳にはいかねぇだろ、テストの順位で単位貰ってっから」
だからあんな休んでも問題ないのか…!
……あれ、でも。
「某金髪さんは下から数えた方が早いんじゃ」
「出席だけは一応してるんだと」
「…案外真面目だったんだ」
というかうちの学校、そんな感じで一応卒業出来るっていいの。
「さっさとやろうぜ」
「んー」
それからみっちり、勉強を教えて貰いました。
ええ、はい、教え方も上手くてこいつに弱点なんてそうそうなくて、あったとしてもイケメンのギャップ効果で弱点ではなくなるんだろうなぁ、と思いました。
もうこいつ怖い。
← top →