「緒方も食べてく?」
「へ?」
「夕食」
「え、いいの!?」
「桜が良いなら構わないよ」
「ねぇねぇ桜ちゃん、俺も一緒に食べて良い?」
「いいよ!」
「やった!」
きゃっきゃっ喜んでる姿は、何だか子供が二人居るようだ。あ、桜は天使だけど。
「そうするとー、…買い物行くかな」
「俺も行く」
「助かるわ」
「おう」
蒼志が座っていたソファーから腰を上げて、玄関の方に向かっていく。
顔を合わせず擦れ違い様に返事をするのは妙に気障ったらしいが、似合うのは相変わらずだ。
「緒方、俺と蒼志で出掛けてくるから、桜の面倒見ててくんない?」
「おっけ!」
「桜たぶらかしたら晩御飯の量減らすから覚悟しろ」
「うえ、大丈夫だよー」
「桜、良い子にお留守番出来るよね?」
「うん!」
頭を撫でてやると嬉しそうに頷く。
蒼志と俺が出て行くと、緒方と桜二人きりになるが、何かする馬鹿じゃないだろうし、この間の一件以来、こいつはちゃんと優しいと知ったから心配はしていない。
というよりはしゃぎ方が園児と近いってどういうことだ。
「じゃ、行ってきます」
「つーちゃんあっちゃん、いってらっしゃい!」
「桜、良い子にしてろよ、土産買ってきてやっから」
「ほんと!?」
「蒼志、そりゃ桜は可愛いから仕方ないけど、あんまり甘やかしすぎないで欲しいんだけど」
「わかってる」
「あっくーん、俺には?」
「頬と腹、どっちがいい」
「わー、冗談ダヨー」
「ほら蒼志、行くぞ」
扉をぱたんと閉めて、いざ買い物へ。
今日は何作ろうかな。
「あのふたり、夫婦みたいだよねぇ」
「なかよしさんなのよー」
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