幼稚園の先生に挨拶をして、桜と手を繋いで幼稚園を出る。
桜にはまだ蒼志が来てることを言っていない。所謂サプライズってやつだ。
いや、本当はこんなことちょっと悔しいけど、桜が喜ぶなら俺は我慢できる。
「桜、今日も良い子にしてた?」
「うん!」
「じゃあ、お兄ちゃんからのご褒美」
曲がり角の少し先。
鮮やかな色が、俺と桜を迎える。
「あっちゃんっ!!」
俺の手をすり抜けて、天使は走って行った。
………正直に言う、めっちゃ悔しい。
「あっちゃんあっちゃん!こんにちわ!」
「おー、元気にしてたか?」
「げんきだよ!げんきだよ!」
…………!
ぴょんぴょん跳ねるとか、マジ可愛すぎる、俺を殺す気か…!
「司ちゃんでれっでれだね」
「可愛いだろう、うちの天使は」
「うん、可愛いね」
認めてくれたことは素直に嬉しいが、貴様にはやらん。
と、緒方と話していると、つん、と桜が俺の指先を引いて、緒方を見上げていた。
「つーちゃん、………おーじさま?」
……………!!!
小首を、傾げる、とか…!可愛すぎてやばいやばいやばい俺死んでしまう。
「王子様じゃないよ、桜」
「でもえほんにでてきたよ」
確かにこいつもイケメンだし、金髪って言ったら白馬の王子様の定番だから間違えても仕方ない。
何て答えようか考えていると、隣に居た緒方は桜に目線を合わせてびっくりする程の、そこらへんのお姉さんなら一発で捕まえられる程度の笑顔を浮かべた。
イケメン恐ろしい。
「桜ちゃん、はじめまして、俺リクって言うんだー」
「りっくん?」
「そう、よろしくね?」
「りっくんはおーじさま?」
「桜ちゃんの王子様になら喜んで」
はーいこいつぶん殴るー。絶頂許せない。何だよ、そんなセリフさらっと言ってみたいわ。
「緒方後で覚えてろ」
「え、何で?」
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