不良とシスコン、時々天使 | ナノ



「そういや、蒼志とかって試験受けてんの?」
「当たり前だろ」

友達になったその日(気恥ずかしいな)、帰りに絶対うちの家に寄るように伝えれば、一緒に帰ると言う。
もう待ち合わせとかめんどくさいから放課後すぐに蒼志の教室に迎えに行ったら、緒方も騒ぎながら付いてきた。

「司ちゃん知らないの?あっくんめっちゃ頭良いの」
「……マジで?」
「学年十位以内にいるもんねー?すごくない?」
「下から十位のお前が何で自慢してんだ」

緒方は期待を裏切らないとして、……何なんだ、この赤髪。

俺こいつに勝ってるとこあんの?

「司ちゃんは?」
「俺なんて銀狼さんの足元にも及びませんよ」
「何拗ねてんだよ」

わしゃりと髪をかき混ぜられて、相手を睨みつければ、にやにやと笑ってらっしゃる。
くそ、イケメンが!

「司」
「何ですかー?」
「教えてやろうか」
「え、」

…………ど、うする、俺。
プライドを、守るか?それとも、恥を忍んで、教えて貰うか?
でも、だって、苦手教科とか教えてもらったら、成績、上がるじゃん。上がったら、推薦とか、取れたりするし。
そしたら、受験勉強の時間減るし、………あ。

「お願いします、桜のために」
「シスコン」
「知ってる」

自分も楽だし、桜を寂しがらせる時間も減るとか、まさに一石二鳥じゃないすか。

「ほんと司ちゃんは、桜ちゃんが好きなんだねぇ」
「マジ天使」
「はいはい」


あまりにも高校生らしい会話をしていると、いつの間にか幼稚園に通じる十字路の前だった。

「俺、迎えに行ってくるから」
「ここらにいるわ」
「保護者のひとにガンつけるなよ」
「わかってる」

どんなに良い奴だってわかってても、やっぱりルックスって大事だからなあ…。
ぶっちゃけ、桜のお兄ちゃんにはイケメンなお友達がいるのよ、っていう自慢を少しさせてやりたいが、如何せん髪色が。

黒かったら良かったのに。


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