不良とシスコン、時々天使 | ナノ



あの恥ずかしい一件は、蒼志の一喝により、屋上に居た人以外には知り得ぬこととなった。
よかった、ほんと、あんな青春の1ページが広められたら俺確実に不登校になってる。

ただ、俺が蒼志と繋がりがある、という事実は噂になっていて、一時はクラスメートにさえ影でこそこそと言われていた。
今は結局俺自体は人畜無害だとわかって普通に毎日を送れている。
ま、例のあの三人は根掘り葉掘り色々聞いてきたけど。面白がってるだけだろ。


「テストの時間割り貼り出されてた」
「何からだった?」
「数学入ってた」
「うわ初日からかよ…」

7月はじめ、梅雨真っ只中。
夏休み前の鬼門。所謂、前期中間試験。

一週間前になる今日から、部活動は禁止になる。そもそも入ってない俺には関係ないけど。
はん、桜の迎えに行けない位なら帰宅部で十分だ。
まあ部活をしてないだけあって、普段から家に居る時間が長い。そのため勉強をする時間も結構長いので、成績的には割と良い部類に入っている。上の下くらい。

だけど今回は、頑張れば上の中位いける秘策がね。あるんですよ。

「…なーんか佐藤、今回余裕そうじゃね」
「あ、わかりますー?ちょっと自信あってさ」
「うっわ、ふざけんな!裏切り者!」

何とでも言えば良いさ、別にずるはしてないし、悪いこともしてない、ただ頭の良い奴が身近に出来たってだけの話。


「ま、赤髪の不良のお陰かな」
「………あー」
「………そういや銀狼って頭良いんだっけ」
「………世の中不公平だ」

ああ、それ、確かに俺も思った。
イケメンでスタイル良くて、実際喋ってみたら案外良い奴で。
その上頭良いとか。

チートすぎるだろ。

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