「……は?」
「だから、さっき言ってた不良って銀狼だったんだな」
手始めに教室戻って情報収集、と思った矢先、いつもの三人組が俺を囲った。
そしてすぐにわかりやすい情報を口走ってくれた。
銀狼。
誰が付けたのか知らないが、何だか一般に聞いたんじゃ笑ってしまうような名前である。
が、この学校、というか不良がいるようなこの付近の学校では、大分有名人だ。
銀色の髪で、物凄く喧嘩が強い、と噂で良く聞く。
だがそれだけで有名になった訳じゃなく、何と言っても外見が良いんだとか。
女だけじゃなくて、男も引き寄せる、らしい。
顔が良くて、スタイルも良い、喧嘩も強くて、ただ何故かよく怪我して………あれ。
「え、」
「お前みたいな奴がなあ」
「世の中信じられん」
「つーか知り合い?」
「皆はカツアゲだとか思ってるみてーだけどなー」
「ちょ、待て待て待て、銀狼って、銀髪だろ!」
「おう、春休み前までな」
「春休み明けてから真っ赤だぜ」
嘘だろ…あの不良。
あの不良が。まさかの。
……うわぁ。そりゃ、離れろって言われるわ。
俺無知にも程がある。
「まあ、佐藤はあれだよな、情報とかに疎い」
「放課後とかすぐ桜ちゃんのお出迎えだもんなー」
「桜?誰それ、彼女?」
「うちの天使だ」
「幼稚園児の妹らしいよ」
「見る?俺一押しの写真見る?もうマジ可愛いから、やっばいから、でもあれだからな、桜はまだ嫁にやらないからな」
「え、佐藤キャラ違くね」
「こいつ重度のシスコンだから」
「桜マジ天使」
それから昼休みを終えるチャイムが鳴って、自分達の席に戻ってく。
銀狼、か。
…今日はもう授業身に入んないだろうな。
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