「うまっ!え、これほんとに全部司ちゃん作ったの?」
「一応、昨日の晩の残り物とかだけど」
「いいなー、俺も作って欲しー」
俺の作った弁当を妙に輝いた瞳で見ていたから、食べるか聞いてみたら勢いよく頷くので、少しあげたら褒められた。
…や、褒められることは嬉しいから良いんだけど。
「あっくん、いつの間に司ちゃんと知り合ったの」
このひとここでもあっくんとか呼ばれてんのか…あっちゃんやらあっくんやら、見た目にあってるんだかあってないんだか。
「2日前にこいつの家の前でぶっ倒れた」
「あ、あの喧嘩の後ね」
「で、昨日こいつの家に泊まった」
「…それだけ?」
「ああ」
…そうだ、それだけだった。
ただ怪我の手当て二回して家に泊めただけだった。桜と父さんが物凄い懐いてるから忘れてたけど、まだ会ってそんだけしか経ってないんだ。
「珍しいね、あっくんが」
「何がだよ」
「俺ら以外のタイプと仲良くなるなんて」
「…こいつの家が悪い」
否定できない。
絶対俺だけだったら無視してたし。
「桜が居なかったら、こんな弁当作る間柄にはならなかったかな」
「なになに、桜って誰?女の子だよね?」
「うちの妹」
「可愛いの?」
「可愛すぎて死ねる」
「へー、会ってみたい!」
「………」
「え、何でそんな嫌そうな顔するの?」
だって絶対こいつ女好きだし…初対面の俺に女じゃないとか言ってたから絶対女目当てだったし。
そんな奴に桜会わせられるか!お兄ちゃんは許しません。
「シスコン」
「桜が天使だから仕方ない」
何時の間にか弁当を食い終わってた赤がぼそりと呟いた。
だから俺はシスコンだって認めるって言ってるだろ。
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