不良とシスコン、時々天使 | ナノ



父を送り出して、妹と手をつなぎ、不良と共に家を出る。

………最後がやっぱりおかしい。

制服を着た赤髪の姿は、思ったより様になっていた、と言うかイケメンだから何着ても着こなせてるんだろう。羨ましい。

「あ、桜の幼稚園寄ってくから」
「あぁ」
「幼稚園まで入んなよ」

流石にその髪色で入れる訳にはいかないからな。
桜が幼稚園で苛められる原因にでもなりでもしたら俺はお前を許さない。

「あー……じゃあ学校まで先行くわ」
「ん」

急かして一緒に家出て貰ったのは申し訳ないけど、幼稚園通って学校行くのは少し遠回りだ。
逆に迷惑になるのかもしれない。

ま、朝早く不良が元気に学校行くってのは少し笑えるものがあるけど。


「あっちゃん…」
「また今度な、桜」
「ぜったいぜったい、またおとまりしてね!」

やくそく!と俺と繋いでない手の小指を差し出して指切りをせがむ桜。可愛すぎる。
大きさの合わない小指に、イケメンは困ったように笑いながらそれに応えていた。

………何度も言うが絵になるのがムカつく。
「じゃあねーあっちゃーん」


角で別れて、後ろ姿を少し見送ってから、桜のペースに合わせて足を進める。

「あっちゃんまたくるかなぁ」
「来ると思うよ」

多分、また怪我して。
あいつ、うちの家のこと病院代わりにしてないだろうな…。

「ねえつーちゃん」
「ん?」
「あっちゃんにおべんとう、いつわたしたの?」

「………あ」


すっかり忘れてた。

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