不良とシスコン、時々天使 | ナノ


俺の暴言の所為で気まずい空気になってしまったので、勿論それについては謝った。桜を急に連れてきてしまったこと、その癖に例の暴言を吐いて申し訳ないと。
それから、昨日助けてくれて、心配してくれて嬉しかったとお礼も言った。
基本的に陽気な方々が多いのか、特に咎められることもなく、逆に気遣えなくて悪かったと謝られて。
まあチャラにしよう、そんな感じで、今はもう変な空気にはなっていない。

「桜ちゃんオレンジジュースでいいかな」
「あ、チョコもあるよ〜」

むしろ何だ。男の人も女の人も桜にデレデレである。中央にあるソファー桜を座らせて、ちやほやしてくれている。アイドルかな。天使だけど。
指輪とかのアクセサリー類全部取って、順番順番とか言いながら桜が嫌がらない程度に頭撫でたり構ってくれていた。
爪が長いひととか、何だっけ、デコレーション?してる人は撫でられない!キィイ!って漫画みたいに悔しがってたのがちょっと面白かった。

「つーちゃん、もらってもいーの?」
「うん、ちゃんとお礼言うんだよ」

知らないひとからお菓子は貰っちゃダメです、と教わってきた桜は、この人たちがどういう立場かちょっとわからないんだと思う。
お酒も入ってない、スーパーでも売ってるお菓子とかだったらまあ大丈夫だろう。

桜は目の前に置かれたオレンジジュースとお菓子を出してくれたお兄さんお姉さんをちらりと見上げて。

「ありがとー……」

どこか恥ずかしそうに口をもにょもにょさせた。
んんんん可愛い……かわいい……人見知り滅多にしないのに今日は知らないひといっぱいでちょっと恥ずかしいのかな……!
隣に座る俺の服ぎゅっと掴んでそう言うから、俺は勿論、近くにいた人たちもダメージ受けてた。

「かわいい!」
「でしょう!」
「天使!」
「でしょう!!」

何だかとても仲良くなれそうな気がしました。
top
BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -