リビングに緒方を連れて行ったら、蒼志は眉を顰め、桜はにこにこ笑顔全開だった。
ふたりの食べるスピードが上がって、俺が椅子に座ってまた食べようとした頃にはほぼ食べ終える手前。
「りっくん、がっこうどうしたの?」
「え?あー、あはは、今日はちょっとお休みー」
「さくらとおそろいねー!」
「そうだねー」
オムライスをきちんと完食した桜はちゃんと流しまで皿を持っていき、ソファーでくつろぎ始めた緒方に突進していった。
蒼志は驚くことでもないけど、流しに持って行ったついでに、桜と蒼志の分の洗い物を済ませてくれたようだ。助かる。
「司」
「んー?」
「部屋借りる」
「どーぞ」
「桜ちゃん、またあとでね」
「うん!」
桜がいるところで、あまり話せないらしい。
あと、もしかしたら俺にも。あまり聞かせたくないのかもしれない。
自分の分も食べてさっさと皿を洗う。ふたりがいなくなってから、桜は洗い物をしている俺のすぐ傍まで来て、皿を拭くという手伝いをしてくれた。さすが天使。
「ねぇねぇ、つーちゃん」
「どうしたの?」
「あっちゃん、りっくんといっしょに、おでかけするの?」
「うん、多分ね」
「つーちゃんは?」
「……」
「つーちゃんも、いっちゃうの?」
本当は。
あの人たちの話を聞きたいと思っていた。
でも桜をひとりには絶対に出来ない。
絶対に。また、この子を、泣かせたくないから。
「大丈夫」
置いて行ったり、しないよ。
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