バイクの後ろにいつもの如く乗って、家に向かう。
ヘルメットに余裕がないから、蒼志のを俺がつけて、蒼志はしなかった。
本当は不味いんだけど、あんまりばれない様に交通量の少ない道を通って。
静かな住宅街。
自分の家が見える直前で、蒼志は、バイクを止めた。
「司」
「何?」
「……悪い」
蒼志の声が聞き取りにくくて、メットを外すと、それと同時にエンジンが切られる。
「…好きだ」
「……そう言うの、やめてくんない」
「司」
次に言われる言葉が浮かぶ。
どうしたって、浮かんでしまう。
「司、」
「やめろって、言ってる」
何だよ、それ。
俺が蒼志の所為で巻き込まれたから?
俺と蒼志が離れたら、これから先はそう言う目に合わなくなるから?
「俺のこと、考えて言ってんの?」
「……違う、そうじゃない」
「…ふざけんなよ、」
殴られて、蹴られて、首絞められて、殺されかけて。
それでも俺は離れらないって言うのに。
「好きだって言うなら、傍に居てよ」
16.離別
(蒼志の肩に頭を置いて)(痛みを堪えた)
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