不良とシスコン、時々天使 | ナノ


蒼志 side


司に何かある前に、原因になりそうな奴らを探していた。
手当たり次第に何人か潰して、大体、わかってきた矢先のことだった。

「あっくん!」

電話に出ていた陸が、焦ったように俺の服を引いた。

「ええと、そう、春日野から!電話あって、司ちゃんが!」
「は、」
「司ちゃん、居なくなったって、」
「どういうことだ」
「桜ちゃんが泣いてて、近くに、携帯だけあったって、」
「……ッくそが…!」

桜だけ。
あいつが、桜だけ残すなんて、余程のことが無い限り、有り得ない。

付いていけば良かった。
大丈夫なんて、あいつの言葉に頷かなければ良かった、例え大丈夫だったとしても、ふたりで帰らせなければ良かった。

「まだ繋がってんのか」
「ああうん、一応」
「貸せ」

陸の携帯を奪い取り、耳を充てる。

「桜は」
『っ、津田か?お前電話くらい、』
「桜は、どうした」
『…ああ、近くに居た人、幼稚園の方に、連れて行ってくれたみたいだ』
「わかった」

桜に最悪なことが起きていないことを確認して、そのまま陸に投げ返した。
幼稚園からきっと、親父さんの方に連絡が行くだろう。
殴られてもいい、自分の所為だから、何だって。
…ただ。

「別れろっつわれたら、どうすっかな」
「…知ってるの?お父さん」
「気付いてんだろ、多分」

あれだけ、子供を見てる親なら気付いていると思う。
ただ、手放せる気がしない。
あいつをそう思うなら、離れればいいのに、絶対に出来ない。

「行くぞ」

でもそれは、司をあの親子の前に連れ戻せたらの話だ。
さっさと、連れ帰ろう。

top
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -