不良とシスコン、時々天使 | ナノ


「今日どうすんの?」

丈の足りない服を見て、俺よりでかいこいつに服を貸してやったのを思い出した。
昨日私服でうちにきてたし、多分あんまり学校来てないんじゃないか。
別にそれは構わないし知ったことじゃないけど、もし行くにしたって制服は貸せない。
主に身長的に貸せない。

「あー…」
「この家誰もいなくなるから、鍵どうしようかと思って」
「…ならお前と一緒に出るわ」
「ん、わかった」

朝ご飯出来たら起こしに来るよ、そう言ってからふと気付く。

「あ、一応聞くけど、弁当いる?」
「…………………いる」
「りょーかい」

新婚みたいだな、これ。



「父さん、桜、朝ですよー」

弁当が完成した頃、目覚ましが鳴る音が一階の父さんと桜の寝室から聞こえてきた。
扉を開けると寝ぼけ眼のふたり。
……相変わらず似てるなぁ。

「おはよう、父さん」
「おはよう」
「……」
「ほら桜、おはよう」
「うー…おはよ、う…」

和室のここは布団なので、畳むのは父さんに任せて桜をリビングに連れて行く。

「桜、ちょっとお椅子座って待ってて」
「うん」

さて、もうひとり、寝起きの悪いのを起こしに行きますか。



と、思ったら携帯いじりながら起きてやがった。

「起きてんのかよ」
「制服届けるように言った」
「は?誰に」
「兄貴」

兄貴って。
呆けた俺の耳に、インターホンの音が響いた。

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