「て、言われたんだけど、やっぱり蒼志に関係してる？」

昼休み、弁当を広げながら朝言われたことを聞いたら、屋上全体が急に静かになった。
どうやら図星らしい。
しかも皆さんもご存知のようで。

「……どっから聞いた」
「朝、クラスの奴に」
「……」
「はい、箸」

箸を差し出してるのに、蒼志はそれを取ろうともせずに考え込んでいる。
近くにいる緒方とか後輩くんも含め、ばつが悪そうな顔をしていた。

「ほら、箸だってば」
「………」

そんなことより、早く箸を取って欲しい。

ぐい、と顔の前に近付けると漸く気付いたようだ。
これでやっと昼ご飯にありつける。

「あのさ、蒼志」
「……」
「正直、こういうことあるんだろうなとは、思ってたよ」

弁当をつつきながら、未だ俯き気味だった蒼志にそう言うと、少し驚いた表情をして顔を上げた。

「守ってやるみたいなこと考えてたら鳥肌立つからやめてくれよー」

あ、今日のきんぴら少し固いかもしれない。
桜ちゃんと食べてくれるかな。

「でもどうしても俺喧嘩とかろくに出来ないから助けてくれたら嬉しい」

あとさっさと蒼志にも食べて貰わないと、昼休み終わるんだけどなぁ。


「一応、少しくらいはわかってて一緒に居るんだから、大丈夫」


喧嘩しろって言われても無理だし、だからと言って逃げ足が早い訳でもない。
でも蒼志と一緒に居るって言うことは、少なからず何かあるだろうとは理解しているつもりだ。
それが、蒼志達に迷惑かけるとしても、多分色んな意味でお互い様だろう。

「負い目とか感じてるならこのきんぴら食べてくんない？」

俺も食べるけど、蒼志にもきちんと完食して頂かなくては。
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