好きなように。
好きなようにって、どういうことだろう。
自分が思った通りにしろってことなのか、それとも、失敗しない道にしろってことなのか、それすらも、好きにしろってことなのかもしれない。
「父さんは司じゃないから、わからないことも多いよ」
「……うん」
「でも、父さんは父さんだから、司にわからない司のことを、よく知ってる」
「…うん」
「いいんだよ」
いつの、言葉だったろう。
いつ、言われて、俺はその時、なんて思ってただろう。
あのひとの、ことを、どう思ってただろう。
「……父さん」
「ん?」
「おれ、」
いいのかなぁ。
このままでいるのは、凄く辛いから。
だから、いいのかな。
「……蒼志が、すきなんだ」
目の前が霞んで、喉が震える。
すきなんだ、本当に。
俺も蒼志も男だけど、どんなに周りから非難されても、変わらない。
ただ、すきで。
「蒼志が、好きでいてくれなくても良いって、思ってたはずなのに、俺、蒼志に、彼女がいるって、蒼志が、自分を好きじゃないって、知った時、すごく、苦しくて、すきでいるだけじゃ、辛くて、蒼志にも、」
蒼志にも、同じ気持ちでいてもらいたいって。
そう、思ったんだ。
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