昼食はファミレスじゃない、ちゃんとしたレストランに行った。
と言ってもそんな高級店ではなかったけど、だからこそ桜も変な緊張もせず食べられたんだと思う。
夕食は、朝言った通り、父さんが作ってくれた。
俺の味付けとは似てるようでちょっと違う味。
正直レストランのより、俺にとっては美味しかった。
夕食も終わって、桜と父さんが風呂に入って、桜が寝て。
父さんは珍しく、お酒を飲んでいた。
「司」
「んー?」
だらだらとした一日だった。
ゆっくりしすぎた時は、何もかも、面倒になりかける。
現にいつもだったらもう風呂も上がってる時間なのに。
「司」
「なに?」
その代わり、考えたくないことをつらつら、考えてしまった。
何でもかんでも、繋げてしまう。
今日レストランで食べたものとか、父さんが作ってくれたその味とか。
話したいことが沢山あるのに、どうして、隣にいないんだろうって。
「司が早く飲めるようになるといいね」
「あと三年待ってよ」
「そうだね、あと三年だ」
父さんは、楽しそうに声を弾ませた。
「その時は、あっちゃんとも一緒に飲みたいなぁ」
「……そっか」
「司」
「ん?」
「好きなように生きなさい」
父さんは、俺を、ずっと見てくれていた。
優しい、あの瞳で。
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