「ごめん、桜起こしてくんない?愚図ると思うけど、抱き上げてちょっとしたら大丈夫だと思うから」
「……………おう」
辿々しく、天使の様な幼子の肩を揺らす赤髪のイケメン。
絵になるところがむかつく。ちくしょ、いつも桜起こすのは俺の役目なんだからな…!
今日はあれだ、手が放せないし、さ、桜が、あいつの膝枕で、寝て、うう………!
「ぐうう…!」
「お前顔やばいことになってんぞ、つーかキャラ違くね」
「いいからさっさと桜起こせ、くそ、羨ましいな!」
「シスコンかお前」
「今更!桜が一番可愛い!」
「引くわ」
「何言われようと桜が天使なのは不変の事実」
真顔で言い放てば呆れたように溜め息をついて、再び桜を起こしにかかった。
どうしようもなくむかむかとしながらも、起きた桜に喜んで貰える様に超特急で晩御飯を作り上げにかかる。
「…ほら、起きろって」
「………や」
「夜寝られなくなんぞ」
「うー」
目を覚ました桜はいやいやと顔を膝に埋める。くそおおおお…!
「つーちゃん、だっこ…」
え、何この可愛い天使。マジ可愛い。マジ天使。昇天するわ。
だけどごめんよ桜、お兄ちゃんは今そっちに行けないんだ…!
「悪いな、つーちゃんじゃなくて」
「んむ…あっちゃん?」
「おう」
ごめんな、桜、仕方がないだろうけど、そこの不良で我慢し、……
「あっちゃんだっこ…」
…………あの野郎、いつか殴ってやる。
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