▽下からのキスはジャスティスだと布教したいために書いた話です
がつん、と背中に壁があたった。
地味に痛い。
笑顔を浮かべる佐々木は怒っていないだろうけど、ちょっと、あの、目が、目が怖い。飢えてる。俺はこの目をした佐々木がとても怖い。
「逢坂、また背伸びたんだって?」
「ご、ごせんち、くらい」
お陰で百八十センチ、という大台に乗れたものの、下から見上げてくる佐々木の様子が怖くて仕方ない。
どうして俺より小さいのにこんなに威圧感があるのか不思議だ。
「俺より大きい逢坂も好きだけど、小さい逢坂も好きだよ」
「え、…え、うん、ありが、とう…?」
それはどういう意味だろう。
と、思っていると、ぐっと顔を近づけられて、そのまま唇がくっついた。
知ってる。キスだ。
こいつ、了承もなく、何度も俺にそんなことをしてくる。
ふぁーすときすを奪われたことを、実は根にもっていたりするけど、佐々木には関係ないことなんだろう。
「っ、ささ、き、」
今回は舌を入れられたりはしてない。
が。
何度も、何度もされてしまうと、経験の浅い俺には息の仕方がわからない。
崩れる脚の間には佐々木の膝が割り込まれて、下に落ちそうになる度に、まあ、その、何というか、大事なものが、押されると、言うか。
生理現象、的に、ええと、よろしくない。とても、よろしくない。
「…ッ、も、いやだ、」
「嫌なわりに、さ、ちょっと硬くなってきたね?」
目線は同じ位。
「……逢坂」
どうしよう、あの目が、もっと、近くなってしまった。
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