初めて身体を重ねた時のあの目が忘れられない。
蔑むような、憐れむような、あの目。
ずっと一緒に過ごしてきて、関係が変わってしまったあの日。
あんなことしなかったら、一生見ることはなかっただろう。
苦しさの中に、嬉しさを見つけてしまった自分には嫌気がさすけれど、それでも今は良かったと思うしかない。
「……ここ」
「ああ、昨日のだと思うよ」
「………まあ、俺は何だっていいけどさ」
この関係に名前をつけるとしたら、友達。セックス込みの。恋人ではない。
何で幼馴染なんて好きになってしまったんだろう。
しかももっとこいつの顔が良くて女の子にモテていたら、ちょっとは諦められたかもしれないのに。
どっかのテレビ番組だか雑誌だかで、幼馴染と結ばれるなんて本当は少ないとか言っていた。あ、でもそれは女性と男性の場合か。俺たちはどっちも男だ。そもそもの原理として破綻している。
だからこそ、アプローチの仕方がわからなかった。
好きだと告げて、それで付き合えるとは思えない。
だったら身体だけでも、と押し倒して、自分から乗っかって、腰を振った。
俺はそういう人間なんだと思わせるために。
もちろん、そんな関係だから愛情が返ってくる訳はない。
「ゴムは?」
「ナマでもいいよ」
「俺が嫌だ」
「そこらへんにあると思う」
性欲処理。
そんな言葉で片付けている。
俺は本命。こいつはある意味義理。
返ってこない想いを、違う方向で満たそうとする俺に、こいつは気付かない。
知ってる。
知ってて、望んだ関係。
いつまでもこいつの中で、俺は幼馴染で、枠から出られない友達。
それすら喜びに変えなきゃいけない俺を、誰か殺してはくれないだろうか。
それが、多分俺が一番望んでいるセックスなんだ。
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