▽自傷行為があるため注意
「最低だ!」
「最低です」
「最低だねー」
「……最、低」
「「最低ー!」」
何かが、壊れる、音が。
した。
「げほ、っ…は、…は、」
転入生が、入ってきてから。
裏切られて、裏切られて、裏切られた。
もう腹の中には何もない。
それでも、逆流する体内が、吐き出そうとする。
いつから、こんなに弱くなった。
唾液を拭って、また、扉を開ければ、自分は強くいられる。
強くなければ、いけない。
「いつになったらやめるんですか」
「やめて欲しいのか」
「望んでるひとは、もういませんよ」
「でも、俺はここにいる」
「……勝手にしてください」
「いつになったらやめるのー?」
「やめて欲しいのか」
「…望、む……いない、」
「それでも俺は、」
「「勝手にしたらー?」」
「ここは、」
「ここは、もう」
「あの子の場所」
「…だから、」
「「いらない」」
夢、かもしれない。
そう思って、腕を切ってみても、流れるのは自分の血で。
少しの痛みを感じて、誤魔化してくれない。
体力が無くなって、眠ることも出来ない。
寝るのには、体力すら必要で。
休めない。
何かが、追ってきて、それが、俺を喰い破る。
恐ろしくなって切れば、痛みで、現実に安心して。
でも、まだ、現実、なんて。
夢なら。
でも、夢だったら。
「……お前、何、して、」
「………さあ、な」
「ッいつからだ!!」
いつ、いつ、いつだろう。
どうして、そんなに、怒る。
いらないなら、俺の場所がないなら、どうして。
「…ちゃんと、まだ、居るだろ、俺は、まだ、俺だろ?」
強くなければ、いけないんだろう、俺は、強いままで、まだ、周りには、居るんだろう。
「なぁ、俺は、お前が、こうなるまで、俺は、何を、見てた…?」
「……見てた、それだけだ、それが、普通」
「違う、違う、違う違う違う違う…ッ!違うんだ、俺は、何も、きっと、何も…!」
強く腕を引かれて、抱き締められて、ああ、あんなに近かった奴が、大きくなっている気がした。
「こんな、痩せて、苦しんで、泣きもしないで、ひとりにさせて、違うんだ、俺は、」
「……なあ、泣くなよ、」
俺はまだ死んでも、いない。
強く、居られる。
だから。
「泣くなよ、泣くぐらいなら、俺を、殺せよ」
赤い染みがシャツをよごして、透明な染みがシャツをけがした。
top