short | ナノ


暗い部屋で、布団を被って、目の前の明かりが灯った、ブラウン管に浮かぶ、白黒の砂を見る。

あれ…?
どうして、自分はこんなことを、してるんだ?
さっきまで、自分は、どうしていた?


―――ザザッ


砂嵐は一度大きな音を上げて、一度プツンと切れた。
それからまた、暗闇に光が浮いて、今度は、どこかの風景が映る。

どこだろう。
何もない、綺麗な、風景。
ただ生い茂る木々が、どこか、不気味で。


――ザザッ
――ブツッ
――フワリ
――ザザッ
――ブツッ
――ザザッ
――フワリ


何度か、同じ風景を、繰り返して、繰り返していくうちに、違和感がぞわりと背中を撫でる。

え、…?


画面の端から、段々と黒が浸食していっている。

でも、これって。
この、影って。


手、の、指、の、かたち。



―――ブツンッ



一層大きな音を立てて、画面が、消える。

それから、画面に、俺の影が映る。


俺の影。
どうして。おかしい。だって暗いのに、どうして、俺の影が、テレビに、映って。



どくどくと心臓が高くなり、身体が、凍ったように動かなくなる。


――ズルリ


なにか、が、いる。

何かは、わからない、だけど、ここに。

荒くなる息、近くなる気配。

どこも見れない、探せない、ただ、光る、テレビ、影、俺の、



―――自分じゃ、ない




肩、ずるり、何かが、腕、ずるりと、からみ、ついて、首に、回る、でも、何も、ちがう、誰だ、黒い、白い、いやだ、やめろ、わらう、おんな、おとこ、わからない、ただ、耳元で。



―――ブツッ
―――ザザッ



―――だーれだ



「おい」

「「「「うわあああああああッ!!!!」」」」

「うるせ、何だよ、もう消灯時間とっくに過ぎてんぞ、寝ろ」

「せ、せんせぇええええ!!!!」
「一緒に寝て!!」
「お願いいい!!!!」
「はあ?やだよ、何で野郎に囲まれて寝なきゃなんねぇんだ」
「だって怖い!!」
「トイレついてきて!!!」
「ふざけんな、いいからさっさと寝ろ」
「だから一緒に寝ようよぉおお!!」
「どんだけびびってんだよ、あ、ほら今テレビ見てみ、」

「「「「ひぎゃあああああ!」」」」

「どアップ超怖ぇ、って、こら、掴まんな暑苦しい」
「「「「せんせぇええええ!!!!!!!!」」」」
「あーもうわかったよ、一緒に寝てやるから、ほら布団入った入った」
「「「「先生愛してる!!!!」」」」



「…………つーかこれ、電源、落ちねぇんだけど」
「「「「…え?」」」」


――ザザッ



end.



**********
修学旅行先とかで皆でホラー映画とか見ちゃって、みたいな話。
前半が映画部分です。
そんなに怖くならないですね。

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