R18
ちょっとアホっぽい
「へぇ…お前がオオカミ」
「…え、あ、う、うさぎ……」
オオカミ、と呼ばれた方、生徒会長の大上は、酷く困惑していた。
何故なら、同じ生徒会の役員達に、風紀委員長の宇佐木、つまり目の前にいる人物には絶対に近付くな、と言われていたからである。
「な、んで、」
「書類」
「あ、ああ、しょるい」
大上は、そのルックスに見合わず、大変なビビリだ。
初対面の人間は勿論、仲良くなっても中々目を見て話すことが出来ない。
そのビクビクとした小動物を思わせる姿に、宇佐木はずくり、欲が芽を出したことを感じた。
――これは、自分の獲物にするべきだ、いや、しなければならない。
実にルックスに見合った、肉食獣らしい考えだった。
「生徒会の奴らがお前を隠す理由がわかったわ」
「へ?」
「なあ大上、仲良くしようぜ?」
「え、え、」
「よろしく、…な?」
差し出したされた手に、大上は迷いながらも、そっと、手を重ねた。
そんな出来事から早数週間。
「ゃッあ、だ、め…っ」
「おら、もっと腰振れよ」
「むりぃ…ッん、んぁ、あ…!」
「無理じゃねぇだろ?」
「や、だ、ぁっ、イっちゃう、」
「まだダーメ」
大上がふと気付いたら、いつの間にか宇佐木と付き合うことになっていた。
しかも現在進行形で喰われている。
オオカミは自分なのに、何でウサギに食べられているんだろう。
今相手の上に乗っているのは自分だけれど、あれ、どうして自分は乗っかって、しかも言われるがまま自ら腰を動かしてるんだろう、何だかよくわからなくなって、浮かび上がる快感と疑問に宇佐木を見下ろすと、彼は大層悪い顔をしていた。
「考えごとかァ?」
「ひぁッあ、や、うごかな、で…っ」
「嫌じゃねぇくせに」
下から突き上げられる衝撃にそんな疑問もどこかに飛んでって、大上は、ただこの快楽を追い求めるしかなくなってしまう。
「はっぁ、ん、そこ、…ッ」
「……どうして欲しい?」
「もっと、つい、て…、」
「はッ…淫乱」
「っん、ちが、ぁ、やぁあッ」
「違わねぇだろ、こんなぐちゃぐちゃにして、よ…!」
「や、ぁ、いっちゃ、んッ、ぁ、ひあァっ!」
「ん…ッ」
頭が真っ白になって、一際高い声を上げて、中に熱が広がるのを感じながら、押し出されたように白濁がこぼれ落ち、ぐたりと大上は宇佐木に倒れ込んだ。
「み、…みんなに、怒られるの、かな」
「何だ、まだあいつらに言ってねぇのか」
通りで周りから何にも言われない訳だ。
宇佐木が溜め息をつくと、隣で彼の腕を枕にしていた大上は、不安そうに見つめた。
「お前、俺とこうなったこと、後悔してる?」
「……してない、けど、でも、」
「だったら、俺が周り説得する」
「………でも」
「いいから」
乱暴に、でも優しく髪を撫でられたら、くすぐったい気持ちになる。
「……う、うさぎ、」
「ん?」
「えと、その、」
「何だよ」
「………す、すき、だよ」
「……おおかみ」
「え、え、あ、なんで、」
「もう一回、な」
「むむむむりだって!」
「煽ったお前が悪い」
兎は狼を見下ろして、狼は兎を見上げて、思い思いに口付けた。
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肉食獣な兎と小動物な狼。
生徒会の役員にバレたら全員ブチ切れて委員長を襲いにかかって会長がマジ泣きする。
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