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「友達から恋愛感情になるのって悪いことなんかな」
「別に、悪いことじゃないだろ」
「逢坂の言い方だと、そんな感じだったからさ」
「ただ俺がそう思わないだけで、そういう奴が居てもいいんじゃねえの」
「俺、友達の好きから、段々恋愛感情になるタイプ」
「俺、そもそも恋愛したことねぇかも」
「うわ、希少種じゃん」
「うるせ、悪いか」
「別に、悪いことじゃないじゃん」
「…真似すんな」
「はは、まあ俺にとったら好都合」
「何だそれ」

食堂を出て、歩きながら他愛も無い話を佐々木と交わす。

あれ、何だこれ、ちょっと楽しい。普通っぽい。
ミノリと話すときは基本あいつが一杯喋る。それは嫌じゃないけど、佐々木と話すのとは違う感覚。
何か、これって、友達、って感じだよな?合ってる?あれ?



「あのさ、逢坂、俺、お前が好きなんだけど」



………あれ?
え、あ、あれ?おい、ちょっと待て、何だそれ、今それ違くないですか、それ。

え、っていうか、今、何て、は?急に、え?え?


「逢坂が睨むときって、大半あれだよな、考え事してるか、てんぱってるとき」
「あ、う、」
「ミノリに声掛けたのも、普段誰ともつるまなかった奴が嬉しそうにしてたから」
「え、え、」
「ちょっと嫉妬してたのかもな、俺お前と喋りたかったし、あ、でもその頃は別に好きって感情はなかったけど」

淡々と喋りだした佐々木にまるで着いていけない。
ささき、しっているか、ここはろうかだ。

一様に皆足を止めて俺たちを見ている。やめろ、はずかしい、見るな。

「それがさ、ミノリが生徒会の人らに連れてかれるとき、逢坂すっごいあの人たち睨んで、それから、ちょっとしゅんとしただろ」
「…う、それ、は」
「それがすげえ何か、可愛くてさ」
「は、」
「あと、さっきも副会長とかに言われて泣くの我慢してたろ」
「う、うう、」
「もう、我慢できなくて」

顔が熱い。きっと、赤い。
そんなのお構いなしに佐々木は更に俺との距離をつめてきた。やめろ、近い。
ぎゅっと目を瞑って堪えていると、耳元に息遣いが聞こえた。
うわああああああ、目開けてればよかった、ダイレクトに声が響いて、でも目を開ければまわりの奴らの反応が目に入ってきて、どうし、どうしよう、うあ、うわああああああああああ。


「逢坂の泣き顔、すっごい見たくなった。あ、でもあれだから、お前を辛い目に合わせてとかじゃなくて、ぐちゃぐちゃに犯して、もうわけわかんなくなって、気持ちよくなって、俺に泣きながら求める姿、見たくなった」


するりと腰に何か這うような感覚がしてびくりとして目が開いた。
そしたら佐々木の顔がすぐ目の前にあって、もう一度びくりとして、気付いたら涙がぼろぼろと流れ出す。おい、俺の意思に反して出てくるな、馬鹿者。

「あ、」
「ひ…!」

佐々木の舌が、俺の目元を舐める。え、舐めるって何。冷静でも何でもなくて、一挙一動に俺の体は揺れる。
どういうことだ、今まで回りに人がいなかった俺には、まるで理解できない。

「なに、なんで、なめ、」
「恥ずかしい?」
「あ、あたりまえ、」
「その顔たまんない」

今度は軽く瞼を吸われて、俺はもう混乱状態だ。だれか、助けてください。

「ささき、」
「何?」
「わ、わけ、わかんね、」
「え?わかんない?俺は逢坂と性的な関係になりたいんだけど」
「!」
「勿論、愛ありで」


で、のあたりで唇が重なった。ファーストキス。こんなあっさり。と、思ったらにゅるって来た、ちょっとしょっぱいのは、俺の涙の所為か。知りたくない事実。

「は、…っふ、ささき、やめ、ッん、」

深くなったり、離れて、浅くなったり、離れて、深くなったり。

繰り返されるうちに、セカンドとかサードとか考えるだけ無駄になって、ぐずぐずと腰が砕ける。
勢いに負けて後ろに反っていった。腰は佐々木が支えてくれるからいいけど、それでも不安になる。気付いたら佐々木のシャツを掴んでいて、気付いたら上から貪られるみたいに、一番深いキスをしていた。



「っは、ぅ、あ、…ッ、」
「…可愛い」

どれくらい、長い間してたのか。頭が朦朧として、何も出来ない、呼吸も、覚束ない。

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