ぶちっと切れたときには、なんかもう遅かった。
俺、思いの外、我慢強くなかったらしい。
「飯中に騒ぐんじゃねええええ!」
俺が飯中に机に飛んできた会長を再び引っ張って転入生に投げつけ、ついでに俺も転入生に向かって歩く。
そして、べしーん、と。
頭を叩いていた。
その弾みに真っ黒いヅラと分厚い丸縁眼鏡が取れ、金髪碧眼の人形が出てきたのは、この際どうでもいい。
静まった食堂に、俺は、我を忘れて声を上げた。
「座んなさい」
「へ、え?」
「早く」
「や、あの、え、あんた誰、」
「いいから正座!」
「はい!」
「それから生徒会及びこいつの信者共!」
「え…?」
「僕たち、ですか?」
「座れ」
「何でだよ」
「ていうか誰?」
「さっさと正座しなさい!」
手っ取り早く近場に居た、さっきぶっ飛ばした生徒会長の頭ひっぱたいて、無理矢理座らせれば他諸々も慌てたように座った。
「あんたらがこの転入生に引っ付くのはどうでもいい勝手にしろ。ただな、周りが飯食ってる最中に暴れんな、迷惑だ、さっき床に落ちた料理どうすんだ!謝れ!」
「「「す、すみませ…」」」
「違ぇよこのすっとこどっこい!」
「「「ひぃいい…!」」」
「俺にじゃない、材料を作ってくれたひと、料理を作ってくれたひと、あと八百万の神様に、それから今食事中に迷惑掛けた人たちに謝れ、今すぐ、早く謝りなさい!!」
大きく俺の声が響いたと同時に、食堂の扉が音を立てて開く。
「風紀委員だ!今すぐ……あ?何だこの状況」
―――――嗚呼。
すっ、と、我に、返った。
あれ…もしかして俺…終わったんじゃね……?
「「「「申し訳ありませんでした!!!」」」」
俺を囲む転入生と信者達の土下座と謝罪の声。
……無いわ、マジ無いわ。
これ以上状況悪化させてくれんなよ…。
「とりあえずそこの土下座集団、風紀に来い。それとお前、こいつらから事情聞いたらお前も呼ぶから、逃げんなよ」
逃げられたらどんなに、良かっただろうか。
俺、ピンチ。
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