不シス 番外 | ナノ


【27歳と17歳が出会いました】



▽蒼志27歳×司17歳


「う、うわ……」
「うわって何だ」
「……や、ええと、うん、……」

何と表現したらいいか。
いや、言いたいことは沢山あるんだけど。
一言で表すには何と言ったらいいか。ってことで。

「……蒼志だなって、思い、ます」
「何だそれ」

わしゃわしゃと大きな手が俺の頭を掻き混ぜる。
滅茶苦茶身長が変わった訳でも雰囲気が変わった訳でもない。
でも、同じ歳の蒼志よりも、十歳年上の蒼志の方が、もっともっと、大きく見えて。

かっこいいのは当たり前。
あと余裕そうなのも当たり前。
ただ、色気的なものは駄々漏れだし、包容力的なものはやばそうだし、未来の俺は大丈夫なのかって思う。

「……あの、未来の俺は、大丈夫ですか」
「敬語やめろ、変な気になる」
「ええ……?」

何だ、変な気って。よく、わからない。
俺が首を傾げていると、年上の蒼志はふっと目を細めて少しだけ笑い、ぴん、と俺の額を小突いた。


「俺は何年経っても、お前に負けっぱなしだ」


その意味がどういうことか、やっぱり、俺にはよくわからなかった。
だけど蒼志がわからなくていい、なんて言うから、とりあえず、頷いておくことにした。




▽蒼志17歳×司27歳


「うわ若!!今も綺麗だけど、やっぱ若いと肌ぴっちぴちだなぁ」
「……」

ぺたぺたと、俺の頬に触れてくる、俺よりも年上の司に、何だか妙な気分になる。
顔はそんなに変わってないし、身長だって俺の方が高い。
だと言うのに、何というか、何と表現したらいいか。

「蒼志は昔からかっこいいけど、でもこの頃は可愛いな」
「……やめろ」
「何で?照れてんの?」
「うるせぇっつの」
「あはは、照れてる照れてる。変わんないなぁ」

俺よりも小さいくせに、何故か大きく思える手で、頭をわしゃりと撫でてくる司。
平凡な顔付だって言うのに、どこか色気がある気がして。きっと未来の俺よりも何倍も余裕がありそうで、少し、未来の俺が心配になった。

「……未来の俺は大丈夫なのか」
「へ?」
「色々」
「……なーに言ってんの」

そう言った司はくすりと微笑み、つん、と俺の鼻先に人差し指をあてて、小首を傾げて。


「俺、ずーっと蒼志に負けてるんだよ」


今もね、多分、これからも。
そう言った司に、ああなんだ、やっぱり未来の俺は負けてるのか、なんて。
そう、思った。



【おまけ】

▽蒼志27歳×司27歳

「やー、若いっていいなぁー」
「お前はあの時からどっか抜けてたな」
「失礼な。今は、まあ、少しはわかってるつもりなんだからいいだろ」
「どうだかな」
「……なに、その顔」
「さあな」
「……くっそ、反則だ、蒼志の方が何もわかってない」
「はいはい」
「蒼志!」
「なんだよ、司」
「う、……何でも、ない」
「照れてんのか」
「うるさい!」
「はいはい」
「くっそー……」


▽蒼志17歳×司17歳

「いやー、何か色々凄かったなぁ」
「……」
「蒼志相変わらずかっこよかったよ」
「……」
「……蒼志?」
「……司、ちょっとこっちこい」
「ん?」
「……」
「なんだよーもー」
「……とりあえずまだ成長すんな」
「あはは、するわけないっての、蒼志と同じスピードだって」
「……」
「どうしたの蒼志」
「……なんでもねーよ」
「はいはい」



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