無機質な音が部屋に響いて、漸く目を開ける。
カーテンの隙間から光が漏れて、朝だと実感した。
丁度良い体温の筈なのに足元だけ妙に暑くて、無意識のうちに絡められた脚が、心地悪い。
簡単に解けるから問題はないけれど。
身体を反転させると相手の後頭部と肩口が見える。
上半身を起こして、その髪に触った。
「ん……」
「祐貴」
「……わかってる、おきる」
舌っ足らずと言う程可愛げがあるわけじゃないけれど、愛おしさは増した。…馬鹿らしいが。
「朝、何が良い」
「なんでも」
「それが一番困るんだよなー」
主婦みたいな呟きの後、こちらを向いて手を伸ばすそいつの鼻先に、唇を落とす。
「圭登」
「甘えんな」
「いいだろ、朝くらい」
「朝だけじゃないだろ」
「よくご存知で」
首裏に回された腕に引かれ、今度は唇同士が重なった。
それは、微睡みの中で
(あー、眠ぃ)
(随分寝ただろ)
(お前の傍だと安心すんだよ)
(……馬鹿か)
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