単純同性交際 | ナノ


朝食時、もう少し時期を見て話した方が良いと思います、と矢代は言った。

「体育祭、…いえ、文化祭の時はどうでしょうか」
「文化祭か…」

十月初週、つまりあと二週間後の体育祭の後、十一月中旬の文化祭の準備にすぐ取り掛かる。
今は学校全体がばたばたとしていて、矢代曰く時期ではないらしい。

「後夜祭等でお知らせすれば盛り上がると思いますよ、一部だだ下がりはしますがそれは圭登様がお気になさることではありません」
「…結局あと二ヶ月は黙ってろってことか」

頷いた矢代から祐貴に目を移すと、祐貴も同意していた。元々他の生徒に言うことを渋ってたからこのままずっと言わなくて良いとでも思っていそうだ。

この日の朝食は矢代と祐貴が皮肉の言い合いでいつもより騒がしいものだった。
偶には悪くないかもしれない。偶には。矢代と祐貴には絶対言えないが。



体育祭が近いことを思い出した途端、一気に仕事が忙しくなった気がする。
いや、気付きたくなかったことに気が付いたと言うべきか。

「かいちょーの組、応援団どーすんの?」
「あー……多分何とかやってるだろ」

勉強の成績、運動能力、家柄、それら全てを含めてクラス割をされているため、クラス対抗で体育祭を行ってしまうと均衡が保てないこともあって、学年を縦割り、またクラス自体を赤、青、白、黒の四色に分ける。

特に前年度と今年度の生徒会、風紀、他の委員長は士気を高めるためだとか何だでほぼ強制的に応援団だ。
仕事で忙しいってのに。ふざけんな。

「うちの組は仙崎クンで、白はかいちょーでしょ?どうせ黒は委員長だし、…青は?副かいちょやんの?」
「いいえ、葛城さんにお任せしましたよ」
「うげぇー…」

指で書類の枚数を確認し、書き込んではまた重ねていく。
同じ白組の人間にさっさと練習に来て欲しいとは言われてるものの、この山をある程度片付けないと顔を出すのも難しい。
役員も最近は揃って仕事するように戻ったとは言え、目の前の山は早々に消えてはくれなかった。

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