R18
「ん、ぅ…ッ」
「声出せよ、つまんねぇだろ」
「ッ、ざけ、んな、…!」
痛みに慣れると、異物感が残り、それすら拭われると、じわじわと腹の底から何かが湧き始める。
縛られた手では力が出ず、脚は動かせず、身体を捩れば却って指を捻り込まれた。
「ッう、あ、!」
ある一点を爪先が掠め、漏れる声。
電流を流されたみたいに身体が反れて、指先が痺れた。
獲物を見つけたように、先程俺が噛んだ唇の傷を舐める男。
楽しそうにそこばかりを引っ掻く。
気持ち悪い。
「ここ、気持ちいいんだろ?」
「よく、ねぇ…っぁ、ん!」
「ここだけに集中してろ、ぶっ飛べるから」
「ッだ、れが、」
言うことを聞いてやるか。
睨みつけても嘲笑う視線に、吐き気がする。
「強情だな」
あからさまな溜息と共に、再び伸ばされる手。
片手で呆気なく首は締まり、被せられた唇は、何の味もしない。
「っく、ぅ…!」
「何も考えられねぇだろ…?」
「ッん、んん…、っ」
「快感だけ、拾えば良い」
指先だけじゃなく、足先も、舌先も、全部痺れはじめる。
馬鹿みたい優しく絡まされる舌は、さっきとは比にならない、びりびりと、直接脳に叩き込まれるみたいな。
突き立てられた相手の指にも、断続的に刺激を与えられた。
空気のない全てに、言われた通り、欲望のみが満たされていく。
嫌だ、やめろ、触るな。
ひゅ、と喉が通ると唇も開いて、出したくもない自分の声が響いてしまう。
「っひ、ぁ、んぁあ、あ、あ!」
「…そそる、」
「あ、ぅあ…ッ、し、ね、くそが、あ、んんっ」
「その眼、最高だな」
眼球を舌で遊ばれ、痛みに視界が霞むが、睨みつけるのをやめることは出来なかった。
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