No side
ぐちゃ、ぐちゃ、と浴室に音が響いて、圭登は耳を塞ぎたくなった。
でも後ろを弄られ力の抜けそうな身体は祐貴に掴まっているのがやっとで、ひたすら声を噛みしめてそれに耐える。
「っ、ふ、ぅ、あ、」
「もういいか」
引き抜かれた指から、潤滑油が垂れた。
整わない息のまま祐貴の肩に頭を乗せていると、身体を動かされ、そのまま反転させられた。
「何、」
「いや?偶には、と思って」
思考の働かない脳内は疑問しか浮かんでこなかった。だけど、そこに手をつけ、と指示された場所に、一気に現実に戻されて目が覚める。
「ふざけんな」
「手、ついてないときついんじゃねーの」
「だからって」
「ほら、入れるから」
自分の顔が映る。その横に、祐貴の顔が。
浴室にある全身鏡。といっても膝から下は写ってないものの、圭登の羞恥を煽るには十分だった。
「や、め…ッぁ、く…!」
「っ、…は、」
先程まで丁寧に解された場所に、ゆっくりと挿入される。
何の支えも無く立っていられることなんて、出来ない。仕方なく、鏡に手をついた。
腰を掴まれて、揺さぶられて、鏡を見る余裕なんてない。見えるのは汚れたタイルだけ。元々、どれも見るつもりはなかったのだけれど。
「ぁ、ん、…っゆ、う、…ッ」
「ん…っ、なに、イく?」
「んッ、あ、…っん、い、く…っ」
後ろからがつがつと遠慮もなく突かれるうちに、限界が近付いて。
圭登は片手を離して、祐貴の腕に触れて、訴える。
あと少し。
そんなタイミングで、動きが止まって、引き抜かれた。
「な、」
「だって、折角鏡あんだぜ?」
使わなきゃ損だろ、と身体を起こされて、鏡に顔が近付く。
自分の知らない顔。見たことも、見たくもない顔。
「ほら、見ろよ」
「…っ、やめ、ろ、」
祐貴は圭登の片足を掴み、ぐっと引き上げる。
全部見えるその姿に、圭登は視線を斜め下に落として視界から外そうとするが、それを彼は許さない。
「こら」
「…いやだ」
「見ろって」
耳に口付けられる。そのまま、舌が、中に入り込んだ。
「ん、ぁ、!」
「圭登」
もう既にイきそうだったのに、それを中途半端に止められて、苦しいのに、さらにもどかしい刺激だけをあたえられれば、早く解放されたいと思ってしまう。
おずおずと視線を鏡に戻すと、そこには意地の悪い笑みを浮かべた祐貴を見る。
「ここ、すっげぇひくついてんの、わかるか?」
「ッ、ぅ、あ、」
後孔に、祐貴の先端が当たる度、吸い付くように、そこが開閉した。
顔が熱い。ぐるぐるぐるぐる、余計に、熱が溜まりそうだ。
「な?」
「…ッ、ゆう、き、…、」
「……欲しい?」
「ん、ん、」
首筋に催促するように頬を擦り付けた。
それに祐貴は気を良くして、耳元で彼の名前を呼ぶ。
「圭登」
先端をゆっくりと埋め、それから、すぐに、奥にまで一気に貫いた。
「ッあ、ひ、あああっ!」
「く…っ」
びしゃり。
鏡に、白い液体が飛ぶ。
「っ、けーいと、」
「う、ぁ、や、…ッも、っ、あ、ぅ、」
「まだ、入れただけ、だって」
祐貴が抜き差しすると、それに合わせて白濁が溢れて、嬌声が浴室を満たす。
圭登は嫌でも視界に入る全部に、溶けていってしまいたかった。
こんなの、違う。否定したくても、駄目で。
「圭登」
「や、…ッや、ゆう、むり…ぁ、あ、」
「俺がイってない」
「あ、ぅ、ひ…ッんああっ!」
いつまでもイき続けるような快楽に、ただ、二人して溺れた。
end.
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途中で疲れちゃったのでこれで許してください。
ギャグだと思って読んだら多分笑えると思うので。
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