ごっちゃ煮 | ナノ


side 祐貴


携帯のバイブの音に殺意を覚えた。

「……祐貴」
「………わかってるよ」

しかも自分の携帯からっていうのが腹立つ。
最近お互い忙しくて全然そういう雰囲気にならなくて。
漸くその波も収まったから、風呂上りの圭登を勢いのまま襲ってみると、珍しく圭登も抵抗せずに押し倒されてくれた。

これは頑張るしかない、と意気込んでた矢先のことだ、いっそこの携帯へし折ってやろうか。

「祐貴」
「………」

ああもう、わかってんだよ。出ないといけないことくらい。
でもこの電話に出たら、そういう雰囲気もなくなる気がする。

逡巡していると、ぴた、と携帯の音が止んで、画面に不在着信の文字。

「……いいのかよ」
「またかかってきたら、出る」

もう一度来るなら、それは大事な連絡だろうから、仕方ない。
けど、来ないなら。



服を捲りあげて、臍から胸元まで舌を滑らせる。
突起を指先で滑るように軽く触れながら、もう一方に唇を寄せた。

「…っん、」

唇を噛みしめた声が喉から聞こえる。八重歯で柔く噛むと、身体もびくりと跳ね、抑えた声も一瞬上がる。
そこから舌は首筋を辿り、頬を辿り、耳元へ。

「圭登」
「…耳、は、やめろ」

ちゅ、と似合わない可愛い音と共に名前を呼んだら、両手で方を突っ撥ねられた。力はさして強くない。
だったら、と、忠告も聞かずに耳に舌を這わせた。
風呂上りだからか髪はしっとりと濡れていて、シャンプーとリンスの、匂いが強くなる。

「祐、貴…ッ」
「ん」
「やめ、ろ…、馬鹿、ぁ、んっ!」

それから耳の穴に舌を差し込んで、わざと音を立てながら浸食していった。
何度も繰り返していくうちに俺の肩を押す圭登の腕はいつの間にか首のところに回っていて、嫌だやめろと言いながら縋り付いてくるようだった。
その間にするすると手は脇腹や胸を撫で、刺激を与えて。

さあそろそろかな、と圭登のズボンに手をかけたところで。


あの鈍い音が響いた。



ぴた、と止まる俺と圭登。
……――畜生、ふざけた内容だったら許さねぇ。

するりと解かれた腕が名残惜しくて、……ああそうか、別に、電話に出てる間にやめる必要なんて、ないんじゃないか。

起き上ろうとする圭登を再びベッドに押し戻す。

「おい、」
「いいから、…少し黙ってろよ」

さらに抗議を重ねようとする圭登の口に、さっきまで彼が髪を拭くのに使っていたタオルの端を右の親指に引っ掛けて、詰まりすぎないように突っ込んだ。

「ん、ぐ、」
「……ああ、何か用か?」

すぐさま電話に出る。
そうすると圭登も声を出すことも動くことも出来ず、眉を寄せて俺を睨むだけだ。

『委員長、ちょっといいですか』
「手短にな」

左手で携帯を持ちながら、右手は咥内から離して先程弄っていた突起に触れる。

「ッ!?」
『それで、この間の件なんですが…』
「それ、仙崎に任せてなかったか?」

あくまで表面上は委員と会話しながら、目線は圭登から離さない。
親指と中指で強く抓み、人差し指でそっと中央を擦る。びくりと背を反らし、それでも俺の電話口に声が聞こえない様、タオルを食いしばっていた。
……どうすっかな、スイッチ入りそうだ。





ずっと同じ方ばかり弄るのも可哀想だと思って両方捏ね繰り回してるうちに、電話の方はそろそろ切る流れになっていく。
その間圭登はどうやら力が抜けきって、抵抗するのも出来ないらしく、必死にタオルを噛んで、シーツを掴んで堪えていた。

『じゃあ、委員長、お忙しいところすいませんでした』
「おう、もうかけてくんなよ」
『はいはい、では』
「ああ」

ぷつ、と電源ボタンを長押しにして、画面が暗くなったのを確認し、ベッドから離れて机の上に携帯を置いた。
もどかしい快感だけ与えられてたからだろうか、ベッドから少し離れたここからでも、圭登の目はすっかり熱に浮かされているのがわかる。

それをじっと見続けて再びベッドの上に上がると、彼はさっと顔を反らした。

「圭登?」

名前を呼びかけると今度は泣きそうな目を固く閉じて、再びシーツを掴む。
恥ずかしそうに、悔しそうに。
おずおずと、そのまま足を開いて、まるで、誘うように。



「……っざけんなよ、」



ああ、もう、こいつ、どうしてやろうか。

覆いかぶさって、詰め込んだタオルを取っ払い、顎を掴んでそのまま乱暴に舌を絡めつけた。
開いた片足の間に俺の脚を差し込んで、それから、膝でぐいぐいと布越しに陰部を押す。
「あ、っぁ、あ…ッ!」
「もうイくのかよ、圭登」
「ば、か…、あ、も、…っう、ぁ、」

背中がしなり、喉が反れて、タオルで抑えていたからだろうか、引っ切り無しに喘ぎ声が耳に届く。

「や、いく、ぁ、あ…ッひ、あぁっ!」
「…は、なあ、俺の膝まで濡れてんだけど」

一層高い声を上げた後、そっと膝をどけると、ぐちゃぐちゃになった布が見えた。
それを顔を近づけて笑って言えば、圭登の目からぼろりと涙が零れて。

くそ、頭のどっかで何かが完全に切れた音がした気がする。



end.

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お題は口にタオル詰められて、かたく目を閉じて脚を開く、でした。

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