伝令【みんなでぎゅっとしよう】
「あっちゃんとつーちゃんはしないの?」
「「え?」」
首傾げた天使も可愛い。
じゃなくて、は、え?
俺と蒼志?
「みんなでぎゅーなのよ!」
「いや、それはそうだけどね…」
「やー?」
「別に嫌ってわけじゃ…」
ちら、と蒼志を見ると、奴も頬を指先で掻いて困惑していた。
まあ男ふたりでぎゅーもな…。
「あっちゃん!」
「…仕方ねぇな」
え、やんの?
マジで?
「司、来い」
腕広げられても、…俺から抱き付けってことですか。
桜は楽しそうだし蒼志もさっさとしろと言わんばかりだし、ああもう、どうにでもなれ。
「お邪魔しマス、」
すす、と蒼志のすぐ傍で立ち、ぼそり、呟いた。
顔なんて、見られない。
「いらっしゃい」
それから、やんわりと、腕が回って、顔が熱くなってくる。
ただ突っ立ってるのも悪い気がして、少しだけ手を伸ばして、服の背中を掴んだ。
どうしても控え目になるのは、勘弁してくれ。
「……顔赤いぞ、お前」
「………あんたも赤い癖に」
「とまとさんみたいねー」
全く、何やってんだ、俺ら。
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