ごっちゃ煮 | ナノ



「ぅ、あ、ぁ、や、あ、あ……ッ」

 どろ。勢いなく、どろどろと、自身から、何かが溢れていった。先走りではない。それよりもっと、ねっとりとした液体。

「は、……もうイった?」
「ぅ、あ、ぁ、……ッ!」

 激しくされた訳でもないのに、腰を揺すられる度、それに合わせたように、何かが零れていく。祐貴は突起を弄っていた指先を離し、腹を滑って、圭登の自身の先端に触れた。

「ひ、あ、ぁ! や、め、触、んな……ッぁ、ああ!」
「どろどろ」
「や、だ、ぁ、あッ! あ、ぅ、ああっ」

 止まらない液体。彼は遊ぶように、先端を突く。敏感になっているそこをそうされると堪らなくて、また止めどなく、溢れていく。きゅうきゅう、後孔が締まって、彼も時折吐息を零した。

「っ、あー、限界、動いて良いよな」

 今までだってゆっくりだけど動いていただろう、と言った言葉は吐き出せない。零れてくるのは己の嬌声だけ。聞きたくもない自分の声。耳を塞ぎたい。でも、出来ない。

「あ……ッ!」

 ずぷりと乱暴に自身を引き抜かれ、がばりと掛布団が剥がされる。仰向けに転がされ、早業かと言いたくなる程素早い動きで中途半端に穿いていたままだったスウェットとパンツが脱がされた。

「ッひあああ!」
「ん……っ」

 そして容赦なく。彼のものが、また中に突き立てられた。ちかちかと目の前が点滅する。身体が勝手に大きく跳ね、喉を反らす。

「ッ、……っ、……!」
「っはは、ドライ、でイった?」

 声も出ないくらい。強烈な快感。圭登の頭の中は真っ白で、彼の言葉も理解出来なかった。ただ、おかしくなりそうな程の快感。それに、身体が支配されている。
 彼はそれを構うことなく、ずぷずぷ、先程では考えられないように激しく奥を突いてきた。奥の奥まで。ごりごりと、彼の先端が奥に当たる。

「っ、ぅ、あ、あ……!」
「あー、すっげ、いいわ、……っ」
「ひ、ぅ、あ、や、め、やぁ、あ、ああ!」

 汗が首筋を流れていく。それを彼は舐め取る。たったそれだけ、ただ肌に彼の舌が触れることさえ、快感に変わった。苦しい。気持ち良い。つらい。気持ち良い。ぐちゃぐちゃ、頭の中も、身体も、全部、ぐずぐずになった。

「ゆ、き、ゆうき……ッぁ、んんっ、あ、あ!」
「ッ、ん、圭登……っ!」

 圭登が腕を伸ばす。祐貴は嬉しそうに笑って、震える身体を抱き締めてきた。きゅう、と心臓を鷲掴まれる。どくどくと重なる心臓が、心地良い。
 ばちゅん、ばちゅん、と激しい粘着質な音と。肌と肌がぶつかる音。達し続けていて、全部、ぜんぶが、何でも良く感じてしまう。

「っ、けいと、イ、く……っ」
「んッあ、ぁ、ああッ! あ、ぅ、ひ、あ……ッ!」
「は、っ、く、ぅ、……あ、……ッ!」

 祐貴に酷くきつく抱き締められ、同時に、中に熱いものが飛び散る感覚がした。断続的に精液が吐き出され、彼の籠った声が耳元に届いた。

「んッ、……ん、……!」
「……っ、あー、……」

 間抜けた声。それが妙に愛おしくて、圭登は目を閉じ、薄く、微笑んだ。

「……で、圭登サン」
「……ん、……」
「満足した?」
「……さあ、な」

 そう言えば、あの飢えはもうどこかに行ってしまった。腹が減った、と、今はもう言えない。恐らく、彼の言う通り満たされたのだろう。満たされたら今度は眠くなってきて、目を閉じているのを良いことに、そのまま、眠りについてしまおうと思った。

「……ま、後はやっといてやるから、寝ても良いけど」

 祐貴の呆れたような溜息。そうか、後処理。中に出しやがって。彼が全部やってくれるなら、まあ、いいか。圭登はこくりとひとつ頷くと、すっと、夢の世界に飛び込んだ。

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