とんだ茶番、…と言うのもあれだが、静谷と付き合い始めて一週間が経った。
そしてそれを、俺たち当人と風紀委員以外、知らない。
というかあれ以来、忙しすぎてあんまり会えていないことが広まらない要因だと思う。
「明里、このお菓子美味しいですよ」
「食べるっ」
「「これも美味しいよー」」
「ん!」
たった今、騒がしくしている生徒会室の中心人物、細井明里と他役員の所為で。
「お前ら静かにしろ」
「…会長、混ざ、る?」
「混ざらん」
「えー、一緒にお茶しようよー」
「うるせぇ静かにしろ」
相も変わらず仕事はしない、その上備品を壊したり風紀的に乱れる(主に親衛隊連中が暴れる)ことによって仕事は増え、会える暇は作れない。
そして気付く、俺たちはお互いの連絡先を知らないと。
…本当に俺ら付き合ってんのか?
「なあ、圭登も一緒に食べようぜ!」
「断る」
「何でだよ?」
「仕事が忙しい」
「ちょっとくらい休憩入れないと駄目だと思う」
「だったらお前らがいなくなったら休憩する」
「明里、彼は忙しいんです、また今度にしましょう」
「ちぇー…」
誰の所為で忙しくなってると思ってんだ、こいつらは。
…あー、何か、馬鹿らしくなってきた。
「あれ、かいちょー、どこ行くの?」
「どこだっていいだろ」
「圭登、俺も行く!」
「「明里が行くなら僕たちもー」」
「断る」
「いいじゃないですか」
「良くない」
「…なん、で……?」
「風紀室に行きたいのか、お前ら」
………。
一瞬の沈黙。そんなに風紀が怖いのかこいつら。
「な、何であそこに行くんだよ!?」
「…そうですよ、何故です?」
「ここより快適だから」
「「意味わかんない!」」
「だって、かいちょー、風紀あんま好きじゃなかったよねー?」
「そうだったか?」
「………」
「無言で圧力かけんな」
とにかく。
もう、疲れたんだ。
でも投げ出すわけにはいかないし、だったら。
どっかの恋人は、ああ言ってたことだし。
「頼る存在がいたっていいだろ?」
別に強がってる意味もないし、弱くなるつもりもないし。だったら、使えるもの使ったって悪いことはないだろ。
それに、連絡先を知るって、義務もあるしな。
「じゃ、お前らちゃんと仕事しろよ」
シーンと静まった部屋の扉を閉めて、一週間ぶりにあいつの元へ。
ま、あいつから俺に会いにこないんだから、せめて一発、殴らせてもらおう。
実は嬉しかったんです
(会いに来てやったぞ)
((((か、会長ううううう!!!!))))
(ああ?)
(よくぞ会いにきてくれました!)
(うちの委員長、あなたに会えなくて荒れてるんです!)
(…馬鹿かあいつ)
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