『っ……で、……い、…!?』
「…、はいはい、連れてくから」
『…そ、……ど、…ッ!』
「説明するっての、とりあえず切るからな」
………うるさい。
「…なに、」
「ああ、起きたか」
妙な温かさに目を覚ますと、上半身裸の祐貴が隣に居た。
……そういや、昨日一緒に寝たんだったか。
「……それ、俺の携帯だろ」
「代わりに出た」
「勝手なことを、…」
携帯にかけてくる様な人間は大体こいつとの関係を知ってるから良いが、それよりも携帯が鳴り続けていたのに起きなかった自分に驚いた。
「よく寝てたな」
「……今、何時だ」
「十時」
「…………寝過ぎだろ」
「俺もびっくりした」
前髪を後ろに撫でつけられ、額に唇が落ちる。
そのまま、また唇が重なって、首筋にちりちりとした痛みが走った。
「お前、簡単に痕つけられんなよ」
「抵抗する前につけられた」
多分、吉川にいつの間にかつけられた痕のことだろう。
あいつ何なんだ、手慣れ過ぎだと思う。
とりあえずつけられた直後に殴ってはおいたが。
「……あんま俺が強く言えたもんじゃねぇけど」
「何だ、まさか本気で浮気、」
「誰がするか」
祐貴は、距離を置く、と言ったことに引け目を感じてるのか、時々浮かない顔をする。
「あー……そうだ、吉川がさっさと生徒会室来て説明しろって」
「さっきのはその電話か」
「お前が生徒会室来ないから、心配で電話したんだとよ」
そうしたら祐貴が出た、と。
明らかに寝起きな声で。
「そう言えば俺も理由聞いてなかったな」
「……実は、」
「めんどくせぇから吉川達と一緒にしろ」
「………お前、ほんと俺のこと信じてんのな」
こいつ馬鹿か。
あんなにわかりやすい顔して、距離置け、だとか。
ちらちら俺のこと見てきたり、姫菱と一緒に居た時なんて。
「……何笑ってんだ」
「犬みたいだったぞ、お前」
「はあ?」
笑い合ってた癖に、目だけは懇願するように、こっちを見ていた。
「圭登だって、」
「何だよ」
「……何でもねぇよ」
目の下をなぞられて、きっと幾分か薄くなった隈のことを言いたいのかもしれない。
「飯、何がいい」
「……フレンチトースト」
「あいよ」
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