単純同性交遊 | ナノ


 
書類、書類、書類。
机に埋め尽くされた、文字の書いてある、紙。

確かに今までだって、少しくらい、積み重なったことがある。
だけど、こんな量に囲まれたのは初めてで。

「…、クソ」

5月のゴールデンウィーク明けにやってきた転入生、細井。
あいつが、きっかけだった。




「転入生?」

「あぁ、今更な」


理事長から回ってきた書類を生徒会の奴らに回せば、途端に上がる非難めいた声。

それもそうだ、真っ黒いごちゃごちゃとした髪型と目まで覆い尽くす変に分厚い眼鏡。
金持ち学園に在籍する俺達は、不清潔感漂う格好を酷く嫌う。
綺麗であるべきだと、思っているから。


「誰か明日、迎えに行って理事室まで連れてけ」

「あなたが行けば良いでしょう」

「俺は明日会議だ」

「……俺、やだ」

「オレもやだなぁー」

「「僕たちも」」

「私だって嫌ですよ」


それでも明日は各委員長総会議で俺も抜けることが出来ず、明日の他の仕事は免除するという賞品をつけて、渋々じゃんけんで迎えに行く係を決めるようだった。


「「じゃあ、よろしくね!」」

「…がん、ば、って」

「やっぱこういうのは、副かいちょーじゃなくっちゃねー」

「はぁ…仕方ありませんね」


そして二言三言話して、皆自分の机に目を向ける。少しだけ乗った書類。
黙々と、片付けていく。
時には皆で下らない会話をして、時には誰かがサボって皆でその仕事を片付けて。


どうして、変わってしまったんだろう。


どうして、今、俺は、ひとりなんだろう。

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