誰かに触れられた気がして、すっと意識が戻り、自分が寝ていたことを知る。
…寝てたというか、意識失ってた、と言う方が正しいが。
「水いるか」
「…い、っ、」
思った以上に掠れた声が出た。喉で空気が擦り、咳が零れる。
「あんだけ声出せば喉も枯れるわな」
「っ、げほ、」
「ほら」
反論しようにもどうにも咳は止まらず、こんな喉にさせた馬鹿を睨みつけていると、水を持ったままあのあくどい笑みを浮かべていた。
おい。顔近づけてくんな。
「ん、っく、…ふ、は、おま、え、ふざけんな…!」
「……は、感謝しろよ」
…案の定と言うか悪い意味で期待を裏切らないで、奴は口移しで水を与えてきた。
俺は鳥の雛か何かか。
不本意だが一応喉は潤い、辛うじて声は出るようににはなった。が。
ここでまた別の問題が発生する。
「……腰痛ぇ」
在らぬ所も痛いがこの際置いておく、腰の痛みが半端じゃない。
起き上がることもままならない、というか起き上がりたくない痛さだ。
一回のセックスでこんな痛みを伴うとは…あれだ、今まで俺が突っ込んできた奴らにスライディングしながら土下座してやってもいい。
「もう一生こっち側は拒否する」
「それは無理だな」
「あ?」
「お前の感じるとこは把握した」
「ぶん殴るぞ」
くそ…物凄い弱味を握られた。
今回の行為で一番イラつくのは、痛いだけで済まなかったことだ。
全身全霊で否定したいところだが、……いや、言うのはやめておこう俺の名誉のために。
「ま、そのことは後々話すってことで、寝ようぜ」
「……あと何時間だ」
「二時間」
「お前何で今まで起きてた」
「圭登見てた」
……馬鹿かこいつ。
「寝ろよ」
「お前が起きた時寝てたら勿体ねぇだろ」
馬鹿だこいつ。
「俺は寝る」
「ああ、おやすみ」
「ん」
隣に入り込んでくる祐貴に口付けて、寝る体勢に入る。さっきまでとそんなに変わらないとか言うな。
「……おい」
「あ?」
「くすぐったいからやめろ」
目を瞑ってすぐ。首やら項やら至る所にキスされ、それどころか何箇所か痕残してやがる。
寝る間際の人間でも流石にそれは気付くぞ、馬鹿が。
「気にすんな」
「気になる」
「寝てろよ」
「お前が寝ろ」
…あれだろ、さっきはああ馬鹿なことを言っていたものの、本当は俺の後処理だとかしてたんだろ。
まあそもそも中に出すこいつも悪いから、礼は言ってやらないが。
「……祐貴」
「んー」
「………寝ねぇならもうヤらないからな」
「それって、」
「上と下の話はまた別だ」
「…ちッ」
舌打ちすんな、この野郎。
その後、朝は祐貴の作った飯を食って、痛みを隠しつつも、仕事をした。
頑張ったことを賞してもらいたい。
ちなみに、痛みと在らぬ所の異物感は、3日目にして何とか何も感じないレベルに落ち着いた。
しかし祐貴にはその間一切俺に触ることを禁止しておいたので、風紀委員には多大な迷惑をかけてしまっているとかいないとか。
知るか、そんなこと。
実はわかってるんです
(委員長仕事しろ)
(圭登が足りない)
(誰か会長呼んで来い)
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