聖が博之を最初に拾った理由は簡単だった。
懐かせたら面白そうだと思ったから。
案の定、人に慣れていない分、懐かせてしまえば容易く彼を手に入れられた。
しかし予想に反したのは、それだけでは満足しない感情だった。戸惑いを余所に、気付いたら、聖は博之を犯していた。
彼は否定する言葉を吐いたくせに、抵抗はしなかった。
それに安心して、何度か同じ行為を繰り返した。
そこで初めて違和感を覚える。
どうして、自分達は、こんなことをしているんだろうか。どうして、博之は、それを受け入れるのだろうか。
男同士だというのに。こんなつもりでは。くだらない言葉が、延々頭の中を巡る。
「…確かめたかった」
「何を」
「俺が、お前を本当に好きなのかどうか」
「意味、わかんねぇ」
「わかってる」
我ながら、滅茶苦茶だと思う。
本当に博之が好きなのか、ただ男も平気になってしまっただけなのか。
確かめたかった。
彼と会わない日、聖は仲間内から聞いた、そっちの気があると言われる小奇麗な男を捕まえて、ベッドに突き倒した。元々そのつもりでいただろうから、特に抵抗もされない。体に触れていくうちに、段々と靄がかかったような気分になる。
自分は、一体何をしている。
これは、そう、浮気というものではないのか。
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