何で、こんな関係になったのだろう。
不適合者と、不適合者。変わらないはずだったのに、立場は幾分違った。不良を纏め上げるグループの長と、ただ、ふらふらとどこにも居場所を特定しない独りと。
拾ったのは聖だ。どこにも居座らなかった博之を、飼い慣らして、傍に誰も居なかったのをいいことに、依存させていった。頼るべき相手は自分だけだと。無意識下に、侵食させていったのは、聖だ。
時には、彼はグループに引きずっていった。時には、今日のように二人で会うこともあった。
時には、体を、重ねたこともあった。
それでも博之は、聖の傍にいても、彼のグループには入らなかった。
そんなの面倒だ、誰が言うことを聞くか。お前に縋るつもりはない。
付き合っては、いないのだから。
「……気分悪ぃ、帰るわ」
「何、」
「お前この後どっか行くんだろ、そっち行って来いよ」
「何言ってんだお前」
立ち上がろうとすれば絡みつく指先。この指先で、何人触ったのだろう。
何人かのひとりは、自分だ。何分の一かに、すぎない。
「…用事、あるんじゃねぇの」
「あるけど、うちのとこの集会だよ、」
「だったら何で、さっきそう言わなかったんだよ」
「……あ?」
相手の間の抜けた声に、言ってしまった、と気付いた。
嫉妬。
醜い感情。
全てを疑心して、いや、そもそもこの関係に、この中途半端な関係に、疑いなど、全てにおいて在るに決まっている。それを問い詰めるというのは、きっとルール違反だ。
「外、出るか」
伝票を持って立ち上がった彼に、無言で、ただ頷いて見せた。
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