CO2

「羽宮さん、私コーラって飲んだことないんです」
「じゃあ飲めよ、何のためのドリンクバーだよ」
塾帰り深夜ファミレスで一虎と駄弁っていた。
「じゃあ、ドリンクバー行ってきます」
***
「帰ってきました」
「1/4しか入ってないぞ」
「口に合わなかったらどうしようと思って」
「そん時は俺が飲んでやるよ」
一虎は気だるそうにストローの端を噛んでいた。初めて飲んだコーラは甘ったるい飲み薬の味がした。
「羽宮さん、はじめてコーラ飲みました!メロンソーダも飲んでいいですか」
「おーそれは店員に聞け」
一虎はメニュー表を見ていた。
「メロンソーダ持ってきました」
「また、1/3しかいれないのかよ」
「あはは」
初めてのメロンソーダはメロンと掛け離れた人工甘味料の味がした。
「中島さんパフェでも食う」
「えっと、今お金が1000円しかなくて」
「奢るから。俺が」
「うーん」
「仮にも、俺、中島さんより年上よ。女は素直に奢られとけ。さーせん、チョコパフェ一つ」
初めて今日一虎が笑った。
「聞きづらいことですけど」
「あ、俺怪我して留年したから」
私の言葉をぶった切って話された。チョコパフェのコーンフレークみたいに一虎の言葉は口にのこった。
***
「一虎スペシャルー」
そういって、ドリンクバーの紅茶とカルピスを混ぜた飲み物を持ってきた姿は紛れもなく普通の中学生だった。




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