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「ねえ、お姉ちゃん、次の連ドラの主役の子ちょーかっこよくない」
テレビを見ると艶やかな黒髪に長いまつ毛そして白い歯の三拍子が揃ったイケメンが映っていた。
「うん、イケメンだと思う」
「お姉ちゃんはすぐ心にもない言葉を言って」
「そんなことないってば」
と言いながらも、心の中ではしょぼくれた野良犬のようにパフェを食べるあの人のことを思い出していた。
***
雨の日はより客が少ない。髪の毛をぼとぼとに濡らしたあの人がやってきた。
「行って来なさいよ」
ホールのおばちゃんに言われ、やむなく注文を取りに行く。
「アイスで…いちごの」
「今日はパフェの気分じゃないんですか」
「単純に金がねぇっ」
拗ねた顔をしてこっちを睨んでくる。
「いちごアイス一点で、以上でよろしいでしょうか」
彼は濡れた競馬新聞を読みながらしょげた顔をして、頷いた。

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