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注文したいちごパフェを目の前にするとカイジはさっきの貸し借りなんて忘れて夢中になって忘れている。
「そんなに見てるってことは食べたいのか」
この男は突然、心臓を止まらせるようなことを言う。私のスプーンの上にあったぶどうはどこかにコロコロと転がっていった。
「じゃ、じゃあ少し」
「なぎささんなんで手、震えてんの」
黙ってくれとおもいながらいちごのアイスをすくった。ファミレスのより段違いに美味しかった。
「カイジさんはぶどう大丈夫ですか」
「うん。大丈夫っす」
ソフトクリームの半分が奪われていった。
***
「なぎささんも奇特ですよね、俺みたいな男に近づいて。そう言う意味って訳じゃないけどね」
「ずっと気になってたけど、顔に傷が、耳にも縫合跡が」
「なぎささんは接客業だからよく見てるよな」
接客業だからって理由だけじゃないと口から出そうになった。
「今から、俺の最大握力でなぎささんを握るな、まずは右手」
「いたい、イタイイタイ」
「すまん、でも男の握力ってこれくらいなんだ」
カイジがなにをしたいのかわからなかった。
「で、左手」
「…え」
力の強い女の人くらいしかない。
「今話せるのはこれくらいかな」
彼はコーヒーをすすった。

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