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「まあ、片付けてないけど、入って、どうぞ」
佐原は急によそ行きの笑顔を貼り付けてきた。
「お、おじゃまします」
広くも狭くもない、ちゃぶ台の上には今日の朝ごはんだったはずの菓子パンの袋が置いてあった。なんとなくぎこちない空気を察してテレビのリモコンを手に取ると
「ああ、そのテレビ、前のバイト先でもらったけど、4、7、8しかつかないスから」
どうも、この部屋は佐原の人間性と同じく、どこかごっそり機能が欠落しているらしい。仕方なく7チャンネルに合わせると昔の刑事ドラマの再放送をしていた。
「でも、私男の人の家そんなに、上がらせててもらう方、じゃないから」
「はいはい、わかってますって」
後ろから軽薄そうな返事が返ってきた。その返事が私を自己嫌悪に陥らせた。
「あーもうDVD見ません。途中からでもわかると思うんすけど」
そういって佐原は準新作のDVDをプレイヤーにセットした。



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