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「とりあえず、カンパーイ」
酒とお通しが出されたところで乾杯する。店に来るまで暗いので青年の顔をロクに見ていなかったが、居酒屋に来て正面に相対して妙な既視感を覚えている。
「おねーさんってなんて呼べば良いい」
「あけみって名前だから」
青年はビールの泡を眺めている。
「逆に名前聞きたいんだけど」
「佐原、佐原誠」
「もしかして、○○中の佐原くん」
「あけみさん俺のことなんで知ってるんすか」
佐原は目を見開いた。
「佐原くんは知らないと思うけど、私の友達の彼氏が佐原くんのクラスだったから。その関係で」
消毒液を混ぜたようなチューハイを一気飲みする。
「へぇー、すげえ偶然スよね」
と言いながら、唐揚げにポテトのケチャップをつけて食べる。
「まあ、上京してきたらこの辺りで飲み会するんじゃない、この辺り若い人多いから」
「それもそうっすね」
「それよりも佐原くんの頭がひよこみたいになってたのに私は驚いたよ」
佐原くんは自分の頭を撫でて、誤魔化すように笑った。



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