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遠藤さんのジャケットは柑橘系の香りとくたびれた布の匂いとタバコの匂いがした。
ジャケットにアイロンをかけようとするふりをしながら遠藤さんの匂いを嗅いだ。テレビを見ている少し疲れた目をした遠藤さんと目があった。気まずくなったのであわててアイロンをかけ始める。
***
アイロンをかけたスーツたちは私によってクローゼットにしまわれていく。クローゼットの奥には着ている時なんか見たことない、全面に吠えている虎の柄シャツ、龍の刺繍が施されたジーパンなんかが積んである。タバコ吸いながら新聞を読んでいる遠藤さんの横顔を見る。あの人の若い頃、なんてものは私は知れるわけないのだ。




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