「ピーンポーン」
滅多にならない私のアパートの部屋のチャイムが鳴った。食べかけのヒレカツを喉の奥にしまって、ドアを開けた。
そこには、夜なのにサングラスをかけた派手なスーツをきた青年が立っていた。髪は真っ白で、テラテラとした真っ赤なシャツは暗闇のなかでもよく目立っていた。
「井上さんの二軒隣に越してきた平山と申します。つまらないものですが」
と典型的な挨拶をしながら、青年はこういう時によく出てくる、典型的な四角い箱を出してきた。
「夜分遅くに失礼しました」
と一礼すると、また隣の家のチャイムを鳴らしていた。
コンビニ弁当を食べながら箱の中身を確認すると、タオルが入っていた。あの平山さんという人は若いのにきちんとしている人だ。けれど、お昼に仕事しているようにはみえない。ホストとかそういう職業の人だろうか。私はさっき会った平山さんがシャンパンタワーにシャンパンを注いでいるのをぼんやりと想像した。
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