「酷い…折れてないの」
私は酷く腫れた右腕触った。おそらく利き手の右腕を執拗に叩かれたのだろう。
「いてぇよ」
「ごめん、心配だから。でも、折れてなさそうね」
少し安心した。
「ねぇ、病院に行こうよ」
「行かねえ」
幸雄は私を睨んだ。いつも私が朝食べている食パンでサンドイッチを作った。
「幸雄、これなら食べれるよね」
「ああ、恩に着る」
私は幸雄の部屋を出て、ドラッグストアで大量の湿布と包帯、そしてワセリンを買った。消毒液は幸雄の家にあるはずだ。
***
「いてぇよ、もっと優しくしてくれ」
「しょうがないでしょ。こんなにいっぱいあざつくってきたのは幸雄だから」
幸雄は不機嫌そうな顔で左手でボタンを外し服を脱ぐ。
背中にもやけどの跡がありワセリンを塗ってガーゼを貼った。そして、右手のひら、根性焼きで皮膚がグズグズになっていた。見ていられなかった。ワセリンを塗り包帯を巻いた。
「今日はピラフだよ」
ピラフの横にスプーンを置く。
「いつもありがとなゆき」
幸雄はピラフを片手でかきこんでいた。
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